*印章の役割
印章の重要な役割は「意志の担保」です。デジタル時代になってもその役目は続いていきます。
印章の役割の一つは「本人確認」。例えば、銀行印では「鈴木一郎という印章を持ってきた人が鈴木一郎本人である」という役割を果たします。この場合、夫が妻に貯金の引き出しを頼むといった代理行為が出来る点が便利です。運転免許証などの写真付き身分証明書の方がセキュリティ性は高くなりますが、こちらは代理行為はできません。
ただし近年は、空き巣で盗んだ印章や、偽造した印象を使って貯金を不正に引き出す犯罪も増えており、「本人確認」のために印章が用いられることの危険性が指摘されています。
その対策として、最近の銀行の通帳には印鑑が捺されていません(預金者本人と銀行しか印影がわからないようになっています)。
印章本来の重要な役割は、「意志の担保」です。契約書の捺印のように、当事者が内容を確認し、お互いに了解したという証拠(担保)を残す役割といえます。回覧板への捺印も同様で、「確かに見ましたよ」という証拠を残す行為としてハンコを捺すのです。
銀行印の代わりに静脈認証、電子認証が使われ始めていますが、これは本人確認の代わりにすぎません。「意志の担保」の役割としては、印象は今も重要な役割を担っています。
この役割を理解し、印章は自分の分身として、自分にふさわしい価値ある良き物を購入し、大切に使って頂ければと思います。
ハンコが求められる場面はこんなにも!
日本国内で実印制度が確立したのは明治時代と言われ、以下のような申請や手続きに、印象の捺印が法律で義務付けられています。これらは法律で明文化されているもののほんの一部で、他にも商慣行として見積書や請求書に捺印したり、婚姻届、電話加入権の売買、賃貸契約など、様々な場面で捺印が求められます。
印章は、日本の文化として生活に深く浸透しており、簡単になくなるものではないと思われます。
●戸籍の届出(戸籍法)
●不動産登記(不動産登記法…登記義務者の実印を義務付け)
●会社設立(会社法…代表取締役の実印を義務付け)
●自動車登録(登録者の実印を義務付け)
●遺言書(民法…自筆証書遺言の場合、署名に加え捺印を義務付け)
●領収書(商法)
●裁判書(刑事訴訟規則…裁判官の署名に加え捺印を義務付け)